大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和58年(ネ)2392号 判決 1984年11月28日

昭和五八年(ネ)第二三九二号事件控訴人、同年(ネ)第二七一四号事件被控訴人(以下第一審原告という。) 富田匡道

右訴訟代理人弁護士 細田直宏

昭和五八年(ネ)第二三九二号事件被控訴人、同年(ネ)第二七一四号事件控訴人(以下第一審被告という。) 川井木材工業有限会社

右代表者代表取締役 内藤二四郎

右訴訟代理人弁護士 高荒敏明

同 若林正弘

主文

一  第一審原告の控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

1  第一審被告は第一審原告に対し、金三八五万四一五二円及び内金三七八万六八七六円に対する昭和五四年一月一三日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

2  第一審原告のその余の請求を棄却する。

二  第一審被告の控訴を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審を通じ、これを八分し、その一を第一審被告の負担とし、その余を第一審原告の負担とする。

四  この判決一1項は仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

(第一審原告)

一  原判決を次のとおり変更する。

第一審被告は第一審原告に対し、金二七一一万〇〇一八円及び内金九〇〇万円に対する昭和四八年四月二九日から、内金一八一一万〇〇一八円に対する昭和五四年六月二一日から、各完済まで年六分の割合による各金員を支払え。

二  第一審被告の控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審とも第一審被告の負担とする。

四  右一、三項につき、仮執行の宣言。

(第一審被告)

一  原判決中第一審被告敗訴の部分を取り消す。

二  第一審原告の請求を棄却する。

三  第一審原告の控訴を棄却する。

四  訴訟費用は、第一、二審とも第一審原告の負担とする。

第二当事者の主張及び証拠

当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり訂正、付加するほかは、原判決事実摘示及び当審記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

(原判決の訂正)

1  原判決三枚目裏二行目を削除する。

2  原判決四枚目裏一〇行目の「平家の」の前に「第一審被告の言い分は、」を加える。

3  原判決五枚目表三行目の「求めて、」の次に「第一審被告に対し、」を、同五行目の「また、」の次及び原判決八枚目表九行目の「前記のとおり、」の次に「第一審原告は第一審被告に対し、」を、それぞれ加える。

4  原判決一一枚目表一〇行目の「被告に対し」の次に「解除に基づく原状回復及び」を加え、同裏五行目の「遅延利息(損害金)」を「利息(遅延損害金)」と改める。

(当審における付加主張)

一  第一審原告

1 仮に、第一審被告に本件請負契約上の債務不履行がなく、第一審原告が昭和五四年一月一二日頃に第一審被告に到達した文書でなした右契約解除の意思表示が民法五四一条によるものとしては効力を生じなかったとしても、右意思表示は同法六四一条により効力を生じ、あるいは、右文書には、予備的に同法六四一条により解除する旨の意思表示が含まれていたものというべきである。

2 そして、右解除当時、第一審被告が施工した未完成の本件建物は工事中断後五年以上も風雨にさらされたため、これに継ぎ足す形で工事を続行して建物を完成させることはできずほとんど無価値な状態になっており、このような状態となったのは、善良な管理者としての注意をもって施工中の未完成建物の保管をなすべき義務を負う第一審被告がその義務の履行を怠ったためであるから、第一審被告の行った工事出来高は存在しないものと評価すべきであり、第一審被告は第一審原告に対し、解除による原状回復として交付済みの工事代金内金九〇〇万円全額を返還すべきである。

3 第一審被告の付加主張2項(予備的相殺の抗弁)は争う。

(第一審被告)

1 第一審原告の付加主張1、2項は争う。第一審原告は、昭和五四年一月一二日頃の解除の意思表示につき、従来もっぱら民法五四一条によるものと主張してきたのであり、したがって、それが民法六四一条による意思表示であるとか、同条による解除として効力を生じたとかみる余地はない。

2 仮に、民法六四一条による本件請負契約解除が認められるとすれば、第一審被告は第一審原告に対し、請負工事を全部完成した場合に第一審被告が得べかりし利益一二三万〇〇一三円(未完成工事分相当代金額の一五パーセント)を損害賠償として請求しうるというべきである。そこで、第一審被告は当審第四回口頭弁論期日(昭和五九年七月一八日午前一〇時)において、右損害賠償請求債権と第一審原告の工事代金内金返還請求債権とを対当額において相殺する旨の意思表示をした。

理由

一  第一審原告の民法五四一条に基づく本件請負契約解除の主張については、当裁判所も、第一審被告に右契約上の債務不履行はなく、理由がないと判断するものであるが、その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決理由説示一ないし三項(原判決一九枚目裏六行目から同三〇枚目表末行まで)同一であるから、これを引用する。

1  原判決二一枚目表八行目の「(一部)」を削り、同九行目の「各尋問」の次に「(いずれも後記措信しない部分を除く。)」を加える。

2  原判決二一枚目裏一行目の「平家部分」から同三行目の「至ったところ」までを、「同月末ころには、平家部分の屋根を葺き終り、二階建部分の大工工事も一週間でできるほどの工事量を残す位に進行させた。ところが、そのころ、」と改める。

3  原判決二一枚目裏五行目の「被告」の次に「の現場作業担当者」を加える。

4  原判決二二枚目表九行目の「原告は、」の次に、「本件建物敷地南側に本堂を有する向導寺の住職(代表役員)であったが、同所には第一審原告の母と妹が居住するだけで、第一審原告自身は居住せず、」を、同一〇行目の「しなかった)、」の次に「第一審原告自身が右申出の意図と各仕様変更の具体的内容の詳細とを」を、それぞれ加える。

5  原判決二二枚目裏一〇行目の「原告は、」の次に「同年六月末」を、同末行の「非難しただけで」の次に「あって、それまでは全く応答もせず、その後も」を、それぞれ加える。

6  原判決二四枚目表四行目の「その後」から同七行目の「物別れに終り、」を削り、同七、八行目の「以後原・被告間に」を「その後も、第一審原告と第一審被告とは全く面談する機会を持たないままに」と改める。

7  原判決二五枚目裏一〇行目の「三月下旬」から同二六枚目表三行目の「成立せず」までを、「一月下旬から四月下旬にかけて、第一審原告と第一審被告とは三、四回工事再開についての面談交渉をしたが、その間に第一審原告が提示した工事内容の変更等に関する二四項目にわたる要求に対し、第一審被告は、そのうち工程上、変更可能なかぎりは受け入れる姿勢を示し、これから工事を再開して建物を完成させるとすれば、第一審被告も数百万円の損失を被ることになるが、それを負担する覚悟で再開したいと申し入れたが、第一審原告があくまでも自案に固執してこれに応じなかったため、第一審被告も再び態度を硬化させ、交渉は物別れに終り」と改める。

8  原判決二七枚目裏末行の「原告代理人に萩原博司弁護士がつき、」を「昭和四九年末ころ第一審原告は萩原博司弁護士に第一審被告との交渉を委任し、同弁護士は」と改める。

9  原判決二九枚目裏七行目の「原告本人」の次に「及び第一審被告代表者の各」を加える。

10  原判決二九枚目裏一〇行目から同三〇枚目表末行までを次のとおり改める。

「右認定事実に基づき判断する。第一審被告は昭和四八年五月七日に本件工事を中断し、以後、本件請負契約上の建物完成期限である同年一二月を経過してもその工事を再開せず、右期限を五年以上経過した昭和五四年一月一二日頃に第一審原告から右契約の解除の意思表示があるまでに建物を完成させなかったのであるから、第一審被告が建物を完成すべき債務の履行を遅滞したことは明らかである。しかし、第一審被告が工事を中断するに至ったのは、第一審原告が、工事内容の変更を求めて、事情を知らない同人の母を通じて、次々に、当初の仕様と異なる仕様図面等を第一審被告に提示し、当時の工程からみてそのような変更が困難であったり、工事の抜本的変更につながるものであったりしたため、第一審被告が第一審原告に対しその詳細について直接説明するよう求めたのにもかかわらず、第一審原告がこれに応じなかったところから、第一審被告は、当初の仕様どおりの施工では第一審原告の意に沿わないと考え、工事変更内容が合意されるまでは工事は進めようがないと判断したことによるものであり、第一審被告は工事中断後も再三第一審原告の指示を求めたが、第一審原告は直接会おうとせず、電話や内容証明郵便で、第一審被告に対し、工事中断を非難し、第一審原告の指示通りに施工することを求めるだけであった。そして、第一審原告は、昭和四八年一〇月には、同人の了解を得ないで工事を再開しても建物を受け取らないとの態度を明確にし、双方が話し合う機会がないまま、約定の建物完成期限が経過してしまった。その後も、第一審原告は、他の業者に工事をさせるとの内容証明郵便を送付し、昭和四九年一月下旬以降にようやく第一審被告と直接面談して交渉が行われたが、その際にも、第一審被告の工事再開申出を拒否し、その後も、一貫して第一審原告主張のとおりの工事変更が行われないかぎり、第一審被告による工事再開には応じないとの態度を示していた。したがって、このような事情の下においては、本件工事が中断され、建物完成期限経過後五年以上も工事が再開されなかったのは、もっぱら第一審原告の責によるものというべきであり、しかも、第一審被告が当初約定どおりの工事を続行することは第一審原告の意思にも反することが明らかであるから、第一審被告が期限内に建物を完成する債務を遅滞したことに違法はなかったというべきである。

したがって、右工事遅滞について第一審被告に債務不履行の責任はなく、これを理由とする第一審原告の解除の意思表示は、その効力を生じないといわざるをえない。」

二  第一審原告は昭和五四年一月一二日頃になした右契約解除の意思表示は、同法六四一条により効果を生じた、あるいは、同条による解除の意思表示を含むものである旨の主張をするので、この点について検討するに、

1  民法六四一条は、請負契約について、注文者に何時でもその契約を解除することができる権利を与えているが、そうであるからといって、注文者が請負人に債務不履行があったとして民法五四一条、五四三条に基づいてなした解除の意思表示がその債務不履行責任が成立しないとの理由で効力を生じない場合において、無効行為の転換などの法理を適用して、当然に民法六四一条による解除の効果を認めるときは、自らの債務不履行責任がないことを確信して仕事の継続をした請負人を不当に害する結果となり、相当とは言えない。それゆえ右契約解除の意思表示が民法六四一条による解除の効果を生じたとする第一審原告の主張は採用し得ない。

2  そこで、次に、右解除に民法六四一条による解除の意思表示が含まれていたかどうかについて判断する。

《証拠省略》によれば、第一審原告が昭和五四年一月一二日頃になした前記契約解除の意思表示は、第一審被告が無断で工事を中止して工事完成期限を経過し、工事再開の催告にも誠意を示さないので契約を解除する、というものであって、第一審被告の履行遅滞を理由とする解除の意思表示であることは明白であるが、前記認定のとおり、第一審原告は右解除の意思表示に先立って、第一審被告が工事内容の変更に応じないのであれば工事の再開を了承することができないとか、あるいは右変更に応じないのであれば、他の業者に請負わせたいとの意思を第一審被告に対し再三にわたって表明し、第一審被告も第一審原告との協議が成立しないかぎり、建物を完成しても第一審原告がこれを受領しないことを認識しており、互いに話合いのつかぬまま五年以上にわたって工事が中断されていたのであり、このような事情に照らせば、第一審原告の右解除の意思表示には、もはや第一審被告には仕事の完成をさせず、第一審被告による工事の再開を断念して両者の契約関係を清算したいとの意思の表明も含まれていると解すべきであり、そうとすれば第一審原告主張のとおり予備的に民法六四一条による解除の意思表示がなされたと認めるのが相当である。

したがって、本件請負契約は、昭和五四年一月一二日頃民法六四一条による解除により終了したものである。

3  そこで、右解除に基づく原状回復義務について検討するに、建物建築工事のように請負人のなすべき給付の内容が可分であり、完成前の給付について当事者双方が利益を有する場合においては、解除の効力は給付ずみの部分には及ばないと解すべきであるから、当事者双方は給付未了部分に関してのみ原状回復義務を負うというべきである。そして、原審における鑑定人徳中攝夫の鑑定によれば、第一審被告が解除前に行った工事の出来高は平家部分が三九・〇五パーセント、二階建部分が四九・三三パーセントであることが認められ、約定された請負代金(報酬)額は平家建部分が七二三万円、二階建部分が七四八万六五〇〇円(前記第一審原告主張の八四八万六〇〇〇円は第一審被告作成の見積書の「合計」表示額によったものと考えられるが、同証によれば右合計額は違算であって、正しくは七四八万六五〇〇円であることが明らかであり、第一審被告は、工事出来高の主張にあたっては、二階建部分の約定代金額が右七四八万六五〇〇円であるとしているから、ここでは、「約定代金額八四八万六〇〇〇円」との自白の拘束力は排除されるべきである。)であるから施工済工事部分に見合う代金額は、平家建部分二八二万三三一五円、二階建部分三六九万三〇九〇円、合計六五一万六四〇五円となる。なお、第一審原告は、右施工済工事部分(未完成建物)は、解除時には第一審被告の保管義務違反により無価値になっていたから出来高が存在しないものと評価すべきであると主張するので、この点について検討するに、前記認定事実によれば、第一審被告は、昭和四八年五月七日ころ工事を中止するに当たり、建築中の建物の風雨を防ぐための応急措置として、窓の開口部分などにシートをはり、廊下の丸太などにはビニール等をかけるなどしたが、原・被告の紛争が長びくにつれてこれらの防護措置は次第に効用を失い、昭和五〇年三月の時点では建物の色はかなり黒ずんでおり、梁や壁はそのまま使えても、貫とか鴨居は取替えなくてはならず、天井、床などの仕上材も取替えた方が良い状態になり、解除後一年余り経過した昭和五五年四月三〇日現在における右建物の現況は、平家建部分については、土台は長年月風雨にさらされた為に数か所に腐朽部分があり、柱は日焼が進み表面色調の変化があり、下屋軒桁化粧丸太は長年月雨ざらしにしたために腐朽が進み白蟻による腐朽が見受けられ、屋根瓦にも凍結による表面剥離その他の破損が多数存在し、二階建部分も腐朽の度合は少いが同様の状況であったことが認められ、以上によれば、前記施工済工事部分の価値は、前記解除時においてかなり減少していたものと考えられる。

ところで、右施工済工事部分の価値の減少は、主として、第一審原告が二階建部分の台所南側出入口部分及び平家部分の天井工事の工法等につき、当初の請負工事契約に基づかない困難な工事変更の申出をなし、この変更工事についての具体的な説明更にはその工事代金の増額等につき第一審被告と協議せず、一方的に内容証明郵便によってその実行を迫り、かつ、第一審被告の当初の請負工事契約に基づいて工事を続行する旨の申出に対してはこれが仕事の受領を拒絶する態度であったため、被告としてはそれ以上工事を進めることが出来なくなったことに因るものであると認められるが、一方、第一審被告は、第一審原告の右要求に対して、請負契約の解消を申し入れて施工済工事部分の受領を催告するでもなく、もっぱら、工事の再開、続行を前提として、第一審原告との折衝を続けていたのであるから、第一審被告において右のような態度をとる以上、工事の再開に備えて、施工済工事部分の保存措置を講じ、これを継続すべきであった。しかるに、第一審被告は当初シート、ビニールなどによる防護措置を講じたのみで、右防護措置の維持・継続について善良な管理者としての意を用いず、その効用が失われるまま放置したため、前記のような価値の減少を招いたものと認められる。したがって、施工済工事部分の価値の減少については、主として第一審原告において責を負うべきものであるが、第一審被告にもその責任があるというべきである。

そして、以上の事実に基づいて考えてみると、前記施工済工事部分の価値の減少については、時の経過による減価を免れない分が存在することを考慮しても、なお出来高の二割の限度で第一審被告においてその責を負うのが相当である。そうとすれば、前記契約解除時における第一審被告の施工済部分の出来高は前記六五一万六四〇五円から二割を減じた五二一万三一二四円となることが明らかである。そして、第一審原告が昭和四八年四月二八日までに第一審被告に対し本件工事代金の内金九〇〇万円を支払ったのは前記のとおりであるから、第一審被告は第一審原告に対し、原状回復義務の履行として右九〇〇万円から前記施工済工事代金額五二一万三一二四円を控除した三七八万六八七六円及びこれに対する受領の日である昭和四八年四月二八日から支払済みまで商法所定の年六分の割合による利息を支払うべきである(但し、第一審原告は本訴において同年四月二九日からの利息を請求している。)。

4  そこで、さらに、第一審被告の相殺の抗弁について判断するに、第一審被告が本件請負契約に従って工事を完成するときは、未施工分の工事代金額から材料代、工賃等の諸経費を控除した金額を利益として得られたはずであるのに、第一審原告の契約解除によりこれを失ったことになるから、第一審原告は第一審被告に対し、この得べかりし利益の喪失分相当額を賠償すべき義務があるというべきところ、前記のとおり約定代金額は一四七一万六五〇〇円で、減価前の施工済工事部分の代金額は六五一万六四〇五円であるから、未施工部分の代金額は八二〇万〇〇九五円となり、《証拠省略》によれば、直請で木造建築工事を行った場合の利益は、代金額の一五パーセントを下まわるものではないことが認められるので、第一審被告は少なくとも右八二〇万〇〇九五円の一五パーセントに相当する一二三万〇〇一四円を得べかりし利益の喪失額の賠償として第一審原告に請求することができるというべきであり、その履行期は右解除によって直ちに到来したものとみるべきである。そして、第一審被告が当審第四回口頭弁論期日(昭和五九年七月一八日午前一〇時)に右損害賠償請求権のうち一二三万〇〇一三円と本訴請求債権とを対当額において相殺する旨の意思表示をしたことは訴訟上明らかであるから、これにより第一審被告の前記工事代金返還債務元本三七八万六八七六円に対する昭和四八年四月二九日から昭和五四年一月一二日までの年六分の割合による利息一二九万七二八九円のうち一二三万〇〇一三円は右解除の時点に遡及して消滅したというべきである。

三  したがって、第一審原告の本訴請求は、第一審被告に対し、前記契約解除の日までの残利息六万七二七六円並びに工事代金返還金元本額三七八万六八七六円及び右元本額に対する昭和五四年一月一三日から完済までの年六分の割合による利息の支払を求める限度で理由があるから認容すべきであるが、その余は理由がないから棄却すべきである。

よって右と異なる原判決は、その限度において失当であるから、第一審原告の控訴に基づき原判決を主文第一項のとおり変更し、第一審被告の控訴は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法九六条、八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条一項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 森綱郎 裁判官 髙橋正 小林克巳)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例